君に甘やかされて溺れたい。

♥︎糖度30%



「紅ちゃん!」


 今朝もいつもの場所で藍良くんが待っていた。


「おはよう紅ちゃん。『甘恋。』読んだよ!」

「えっもう?」


 10巻もあったのにもう読んじゃったの?


「すごく面白かった!続きが気になるね!」

「そうなの!すごく面白いの!」

「僕初デートの話が好き」

「わかる!!」


 嬉しい。誰かと『甘恋。』の話ができるの初めてだ。

 すごく嬉しい。楽しい。


「紅ちゃん、これ」


 藍良くんが差し出したのは、マフィンだった。
 それもくまさんのアイシングクッキーが乗っていてとてもかわいい。


「これ、『甘恋。』に出てきたマフィン?」

「そうだよ。再現してみたんだ」

「藍良くんが作ったの?」

「うん、僕スイーツ作るの好きなんだ」


 えっ何それかわいい。かわいすぎる。
 スイーツ王子って呼びたくなっちゃう。

 しかも『甘恋。』のマフィンを再現してくれるなんて。


「漫画貸してくれたお礼だよ」

「あ、ありがとう……」


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