君に甘やかされて溺れたい。


 藍良くんの優しい甘さにとろけそうになっちゃう。

 どうしてそんなに優しいの?
 藍良くんの気持ちがわからない。

 でも臆病な私は、気持ちを知るのが怖い。

 だって、また私が一人で舞い上がってるだけかもしれないから――。


* * *


 中学の時は、私もいつか『甘恋。』みたいな甘い恋ができるかもって思ってた。

 私は同じクラスの猿渡(さわたり)くんと仲良くなった。
 帰りが一緒になることが多くて、方向も同じだからほぼ毎日一緒だった。

 猿渡くんは口が悪いところもあるけど、さりげなく車道を歩いてくれる優しさがあって。

 多分私は猿渡くんのことが好きだったと思うし、猿渡くんも同じ気持ちなんじゃないかなって期待してた。

 彼氏彼女になってデートしたりするのかなって、そう思っていたけど。


「猿渡って未波と付き合ってんの?」
「未波ってゆるふわ系で猿渡のモロタイプって感じだもんな〜」
「ちっちげーし!あんなやつ好きじゃねぇ!」


 ……え?


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