危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 麻美の必死の懇願も、蓮の心には響かない。

奪われていく心

 二人で海へ行ったあと、すみれは片桐のことで頭がいっぱいだった。
 なぜ、彼は自分を抱きしめたのか。キスをしたのか。
 ただの気まぐれなのか、そこになんらかの気持ちはあったのか。

 考えても片桐の気持ちがわかるはずもない。しかし、海辺で交わした抱擁と口づけは、思い出すたびに軽い痛みとともにすみれの胸を甘く疼かせた。


 けれど翌朝迎えに来た時、片桐の顔はいつもどおりで、そこには微塵の変化もなかった。
 もしかして、あれは自分の妄想だったのかもしれない。そんな気さえした。

「行きましょう」
「はい」
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