危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
招かれざる客

 すみれが家を出たあと、父から何度か連絡があったが、全て無視した。住所は調べようと思えば父なら簡単に調べられるだろう。
 けれど来ないのだから、こちらから何かする道理はない。
 父に逆らったのは初めてだった。もう成人しているのだし、安定した収入もある。これからは自分の足で歩いていったって構わない。
 
 仕事を終え、一人で部屋で食事の準備をしていると、スマートフォンから着信音が鳴った。
 見ると公衆電話からだった。少し迷ってから、電話に出る。

「もしもし」
「…………」
 
 直観的に達也の元恋人だろうと思った。もうお腹も大きいはずだ。

「あの、どなたですか」
「吉田マナと言います。達也さんと付き合ってました。あなたと結婚するから別れると言われて……でもおなかに赤ちゃんがいるんです」
 
 消え入りそうな声だった。
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