危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
 感じたのは憤りだった。すみれはもっとこの理不尽な状況に怒っていい。いや怒るべきだ。自分にそんな資格はないということは頭から抜け落ちて、感情の赴くままにすみれにぶつけたくなる。

「俺はいやだ。あなたが危険な目に遭うのは」
「父から自立するって決めたのに、結局一人じゃなんにもできないんだって痛感したわ」
「人に頼るのは悪いことなのか?」
「悪くないと思う。でも私にはそんな人はいないの。あなたに迷惑をかけたこと謝ります」

 すみれは蓮の苛立ちの原因を迷惑をかけたからだと思っているのだろう。違う、でもなにからどう伝えたらいいのかわからない。
 本当はすみれを慰めたいのに、出てくるのは責めるような言葉ばかりだった。

 ──俺はなにをそんなに苛立ってるんだ。

 自分の気持すらわからなくなってくる。

「もう会わないし連絡もしないから」

 すみれの性格上、今帰れば、二度と会うことはないだろう。そう思うとたまらなくなって気づけばすみれの体を扉に押し付け唇を塞いでいた。
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