危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
 一瞬、沈黙したあと蓮が静かに尋ねる。

「なぜ」
「達也さんとよりを戻すの」

 蓮が眉根を寄せ、険しい顔をする。そんな傷ついた顔をしないでほしい。決意が揺らぐ。

「嘘だろう」
「本当。体調面でも金銭面でも支えてくれるって言ってくれたから」

 そう言うと、蓮が苦悶の表情を浮かべた。初めて見る顔。
 この人に嘘をついて、たくさん傷つけないといけない。それが自分の最後の役割だ。蓮にはどれだけ時間が経っても癒えない傷がある。

 自分が彼を癒せるならよかったのに、できないどころか、一緒にいても傷を抉り膿ませるだけだ。
 父の罪が疑惑ではなく確信となった時、もう関係を続けるのは無理だと悟った。
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