危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
蓮の無垢な少年時代を徹底的に破壊した父が憎い。
その血が自分に流れていることがおぞましい。もしも別の人間に成り代わって蓮と再び出会い、愛し合えるなら、悪魔にでも魂を売るだろう。
蓮はきっとそれでもすみれを愛してくれる。そんな驕りも心のどこかにある。
真実に耐えられないのは、きっと蓮ではなくすみれかもしれなかった。
それに自分は蓮を置いて死んでしまうかもしれない。その時辛い思いをさせるくらいなら今めちゃくちゃに嫌われたい。
このまま突き進んで、いつか二人の想いが濁ってしまうくらいなら、ここで別れて蓮の心に永遠に自分を刻み込みたい。
呪いのようなエゴイスティックな愛に似た執着に、頭が侵されている。
「俺は……別れたくない」
「もう決めたことだから」
こんな時なのに、蓮の長いまつげだとか、形のよい鼻とか、きれいだなと改めて思う自分がいる。
蓮の心の中には、誰も立ち入れない場所があって、すみれはいつももどかしかった。