危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 浜辺で初めてしたキスとか、一緒に狭い部屋でご飯を食べたこととか、くたくたになるまで交わったこととか思い出すだけで胸が引き裂かれそうだった。

 こんな時に思い出しちゃいけない。

 ──蓮がいてくれたらほかにはなにもいらない。

 そんなたった一つの願いを捨てないといけない。
 いや、それは偽善だ。自分がこれ以上耐えられなかった。
自分はただこの蟻地獄みたいな苦しみから逃げたいのだ。蓮ではなく自分のために。

──離れたい。離れたくない。

 二つの思いが波のように交互に押し寄せ、それもまたすみれの苦悩を深くさせていく。
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