危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 片桐が売店で飲料水や、軽食、洗顔などを買っておいていった中に一冊の本があった。

 ふとベッドの脇に片桐が置いていった本が見えた。
入院中の暇つぶしという気遣いだろうか。なんだか彼に不似合いな行いに思えた。
 本は、まだまっさらな状態だったから、わざわざ買ってきてくれたものだとわかる。

 ページをぱらぱらとめくる。古典のファンタジー小説だった。

 それは、偶然にもすみれが中学生の頃、大きな手術のため入院していた時に読んだ本だった。偶然とはいえ、懐かしくなる。
 一人きりで手術の不安に耐えなければならないすみれを支えてくれた本。
 どん底の気分の中、物語に没頭することで救われたのを思い出す。

 ほんの数ページ読んだだけで、当時の記憶が蘇る。わくわくどきどきしながら、当時の記憶をなぞっていく。

 眠る前、どんな物語だったか記憶をなぞっていると、いつの間にか眠ってしまった。悪い夢は見なかった。
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