危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
達也は、親のことなど関係なしに自分を愛していると言ってくれた。その言葉に嘘はない。自分たちは親の意向など関係なく本当に愛し合っており、幸せな家庭を築くのだ。そう信じていた。
会場には色とりどりの花が飾られ、夜の海をモチーフにプロジェクションマッピングなど幻想的な光の演出が施されていた。
シェフたちが用意する高級食材を使った多国籍料理や上質なカクテルやワインに出席者たちも舌鼓を打っている。豪華なパーティーは両家の財力と権力の結びつきを祝うためのものでもある。
黒いタキシードに身を包む父は上機嫌で来客たちと談笑している。今夜の主役はすみれではなく父かもしれなかった。
一体今宵の宴だけで、どれだけのお金がかかっているのか、想像するだけで恐ろしくなる。宝来家は政治家とはいえ、先祖代々大病院を営む達也の実家と違って大金持ちというわけではない。だが一代で大臣まで成り上がった父もやはり只者ではなかった。
並外れた野心は表には見せず、優雅で知的な雰囲気は一見すると政治家というより壮年の俳優のようだ。
最近週刊誌で取ったアンケートでは総理になってほしい政治家ナンバーワンだったらしい。
「あまり人前に出るのが得意じゃなくて」
「控え目さはすみれの美徳だからね、そのままでいいよ」
自分を気遣う達也の優しい目を見て、すみれは幸せを感じた。