危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「くそ……」
蓮は苛立っていた。全てはうまくいくはずだった。それなのに、すみれと関わるようになってから、自分をうまくコントロールできないでいる。
自分たち家族にあれほど卑劣なことをしておきながら、世間ではクリーンなイメージで押し通している。
叩けばいくらでもホコリの出る人間だ。だがもみ消すだけの権力と金が彼らにはあった。自分もいくつかの非合法のことをして、やっと手に入れた証拠の数々。
それらを世間に晒し、あとはただ粛々と奴が堕ちるのを見るだけだ。
──それなのに。
すみれの涙ひとつでこれほど心をかき乱されるとは思わなかった。
生まれながらに、なにもかも手に入れているように見えるすみれが、心のうちに抱える葛藤を知った。最初は、ただ父親の言いなりの人形のような女だと思った。
だが、すみれと関わることが増えるにつれて、片桐の心も揺れ始めていた。
なぜ自分が生まれた街に連れていってしまったのだろう。
なんのメリットもない行為だった。