危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
 もし自分の正体がバレればすべての計画が無駄になる。だからこそ、すみれとはもう関わらないほうがいい。それなのにすみれのことが頭から離れなくなっている。

 余計な考えを振り払うように、翌日からはいっそうすみれに対して、事務的に接した。全て は宝来正道の悪事を暴き、正当な裁きを受けさせるため。そのために、自分も火だるまになっても構わない。
 自分はすみれにも災いをもたらす人間だ。
 すみれのことなぞもう考えないほうがいい。
 そっと自分の手を見る。倒れそうになったすみれを支え、抱きしめた感触が今も残っている。本来厳しく自分を律することは得意な性格だ。

 宝来に近づき、奴の悪行の証拠を集め、それを世間に暴く。
 あとはただ粛々と奴が堕ちるのを見るだけだ。

 ──迷うな。惑わされるな。

 そんなことを考えていると部屋の呼び鈴がなった。
 モニターを見ると、よく知った顔がある。従姉でもある、義姉の麻美だった。

 扉を開けると、半分怒ったような、泣きそうな顔をしている義姉がいた。

「蓮! 連絡もないしどうしてるのかと思って来たの」
「元気だよ」

 ぶっきらぼうに答えると、麻美は部屋に入ってくる。
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