「みんなで幸せになると良いよ。」

円らな瞳が可愛い男の子だった。


「啓くんって言うんや。僕もケイイチやから同じケイくんやね。」


同僚や仕事先の家に行くと同じくらいの子供とよく遊んでいたので、小さい子をあやすのは結構得意だった。


「けぇいちー」


元気な声で僕の名前を叫ぶ様は凄く無垢で純粋で可愛かった。


「え～、呼び捨て～。おにいちゃんやん。けーいちにーちゃん。」


ボディランゲージにはっきりとした滑舌、いつもよりオクターブ高い声で笑顔になる。
後ろで「くすっ」と鼻の音を鳴らした。
たぶん、ヒイラギがいつもと違う僕を見て笑っているんだろう。


『えっ。』


若い母親は目を丸くして僕の顔をマジマジと見て、


『あぁっ、ごめんなさい。…ケイイチさんって仰るんですか？』