「みんなで幸せになると良いよ。」
『お母さん、お願いがあるんです。』


少し元気のない声で母親を怯えたように見る。


「どうしました?あなたが私にお願いなんて珍しい。」


嬉しいんだろうな、姉と私を比べてお気に入りの可愛さとあぶれたものへの同情の使い分け。


『少し遠回りして帰りたいんです。景色が見たくて、あの展望台の近くに行きたいんです。』


傷心した次女が景色を見たいと言っている。勝った気分なんでしょう、お母さん。


「いいですよ。私も今日はとてもいい気分です。きれいな景色を見たいですわ。」


ふふっと微笑んで自分の支配欲を満たしていく。


『ありがとう、お母さん。』
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