「みんなで幸せになると良いよ。」

7.展望台とブラウスと水色の下着

その日の帰り道の車は母親と私、運転手の3人で乗っていた。
無言の母親は上機嫌。
いつもなら音楽に合わせて体を動かしたりしないのに、膝を一指し指で拍を刻んでいる。

私は何事もない顔をしている。

澄まして、「痛くも痒くもないです。」

そんな顔をしている。

母親は多分娘の無理をしている姿を見て楽しんでいるんだろう。いつもと同じ帰り道を走る送迎用のセンチュリー。
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