「みんなで幸せになると良いよ。」
ちょっとイラッとした。

今は誰とも話したくないし、車内に迷惑もかけてない。


『良かったら使ぉて。』


紺色の上品なハンカチ。


「えっ…?」


『苦しいことか悲しいことか、良い涙じゃない気がしてね。』


良い涙と

悪い涙、か。


「いや…ぁ、大丈夫です。…すいません。」


『困ったときはお互い様、はい。』


おばぁちゃんは無理矢理目にハンカチを押し付けて

涙を拭いてくれた。





とまらなくなるのに。
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