「みんなで幸せになると良いよ。」
就職するより前、大学に入るより少し前、
そんな友達の大人になっていった過程を見ていないから妙におかしかった。

まるで数年ぶりに親戚の子供みたいに会ったような気分で、同じ学び舎で過ごした友達を見た。

いつのまにか子供が居たり、ヒゲを伸ばしてたり、誰かは借金で飛んだとかいう話もでた。

「いつ」から変わってしまって、
「いつ」からなら変わっていないのか。

誰もその定義を持っていないのに口々に

「変わったな」「変わってないなぁ」と言いあった。

そのお決まりの言葉の交換にはすぐ飽きたけど、お祭りの雰囲気は全然変わってなくて相変わらず胸がときめいた。

夏休みのプールの横で塩素の臭いに騒いだように、センチメンタルよりノスタルジックな感傷に浸っていた。

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