「みんなで幸せになると良いよ。」
『アンタほんまに怒るからね!上りきったらどうなるか覚えときぃや!』

ははっとしてやったりの笑いで流し、椿の怒った顔を見ると
『早く上れ!』と椿は更に怒った。

昔なつかしのパチンコ台がある。
機械じゃなくて手動で弾くタイプのパチンコ。

『うわぁ、こんなん初めてみた。レトロやん!凄いやん!』

お祭りは椿のテンションをいつも以上にあげてくれた。
普通のことでも目をキラキラさせて『凄いやん!』と何度も驚いてくれる。
その声が聞こえるたび無理矢理浴衣を着させて連れてきた苦労も報われる。

我がままなんて普段言わない椿がお祭りに来ると
『あれ買ってきて!』とか
『あれに並ぶ!』とか指示を出してくる。

あまりに人をこき使うので何か言ってやろうかと思ったけど、
注文の品を持っていくたびに

『わぁ、凄いやん!ありがとう、めっちゃ嬉しい!』と

心から喜んでくれているようで僕まで嬉しくなった。
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