その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~

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(はっ――!?)

 ステイシアに言われた通りだった。
 紙安は物語の世界で再び目を覚ますことが出来、今では見慣れた白い天井を目にする。

 あの時、ルキスに斬られて死んだのは確かなはず。
 だが紙安は今ステイシアとして、懐かしいアロウマーク家の私室に戻ってきていた。

 それは……ある事実を示している。
 彼女の時間が、フェルメイア王国の破壊が起こる前に戻されたということを。

「あれが……この世界に私を引き込んだアイテム……」

 口にして、紙安は初めてそれの存在を意識した。
 今はテーブルの上にある、いつも身支度の時、侍女に付けられていた髪留め。
 かつてリューグから贈られたというそれがどうやら、この世界をループさせる為の術を込めた物なのだとステイシアからは聞いた。
 だが表面に取り付けられた八つの黒曜石の内、すでに半分に白いひびが入っている。
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