その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~

◆(精神世界Ⅱ)◆

◆(精神世界Ⅱ)◆

「しくじったのね、バーカ」
「――ッ、あ、ああ……」

 気付くと、またステイシアが闇の中で紙安を見下ろしていた。
 紙安の身体は、今もまだ生々しい死の感触に怯えている。

「わた、わた……し、死」
「落ち着きなさい。まだ終わってない」

 ステイシアはしゃがみ込むと、紙安の顔を間近で覗き込む。
 少しずつ、体の震えが収まってくる。
 その澄んだ紫の瞳は不思議とあまりリューグと似てはいないが、なんだか……強制的に人を落ち着かせるような、そんな迫力があった。

「やはり、力づくでどうにかしようとしてもダメだったか……」
「失敗すると分かっていたんですか? ならなぜ……!」
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