その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~

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「――ふう」

 アロウマーク家のベッド。
 それが背中を支える感触にほっとして、紙安は目を開ける。
 ループも都合三度目となると流石に少し慣れてきたようだ。

 紙安は残りの機会を確認するため、サイドテーブルに置かれた黒曜石の髪留めを見つめる。無事な石が三つということは、今回を含め、残すところの機会は後三度。

(もし、目的を達成できずに全部失敗したら、私たちはどうなるんだろう?)

 ステイシアに尋ねたのと反対の疑問が頭をよぎる。
 髪留めに封じられたステイシアの魂は消えるのか。
 そして一緒に紙安もこの肉体から引きはがされ、冥府やら天国やらに飛んでいくのだろうか。

(やめよう……)

 あまり考え込むと深みにはまりそうになので、紙安は意識を切り替えた。
 目覚めたのならルキス以外の攻略対象について考察し、方針を定めなければいけない。
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