その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 自分の本当の妹で無いと分かっているのに。
 リューグはどうして、ステイシアをこんなにも大切に扱っていたのか。

 彼の前半生に何があったのが気になり、その日の紙安は二人の監視に全く集中できなかった。


 しかし……その後も物語は順当に進展してゆき――。

「リューグ・アロウマーク! 貴様が兄を殺し、暗黒石を使ってこの国を滅ぼそうとしていることはわかっている! 今すぐ罪を認め、法の裁きを受けろ!」
「……理事長! 私たちを見守ってくれていたあなたがそんなことをしているなんて信じたくはないけれど……もしそれが真実なら、この国を守る為に私はあなた戦います! 私たちの大切なこの国をあなたに壊させるわけにはいかない!」

 王宮の宝物庫で――この世界に来てから始めて、紙安は物語のクライマックスに立ち会う。

 リューグを糾弾し、戦う姿勢を見せるカイラスとロゼ。
 仲間となったルキスとミーシャもそれに倣い、彼らはリューグと対峙する。

「ふふ……ならば止めてみるがいい。王国に対する我が怨嗟を、貴様たちの意志の強さが上回れるかどうか……その力を見せてみよ!」
< 72 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop