俺様御曹司からは逃げられません!
それでも誤った道を正すためには絢人と向き合わなければならない。
楓が俯けた顔を上げると……絢人はぽかんと口を開けて間抜け面を晒していた。
「は……?」
「え……?」
どうして彼はこんなにも唖然とした表情をしているのだろう。楓もまた、呆然として彼を見返す。
「……待て、待て待て。ツッコミどころが多すぎる。浮気相手って何の話だ?俺は楓としか付き合ってないし、遊びのつもりもない。それに、電話で言ってた見合いも母さんが勝手に進めようとしてただけで、もう断ってる」
「……え?」
「当たり前だろ。おまえは俺のことを何だと思ってる。なんで遊びなんて発想になるんだ」
「だ、だって……絢人さんは二見の人だから……こんな、私みたいな一般人を相手にするわけないと思って……」
ゴニョゴニョと歯切れ悪く、心の裡に溜め込んでいた本音を吐き出した。
後ろめたさを感じて目を伏せていると、手首を優しく掴まれ、クイっと引き寄せられる。楓は導かれるように彼の隣に腰を下ろした。
手首を掴んでいた絢人の大きな手が、今度は楓の手をギュッと力強く握った。
まるで離さないと言われているようで、楓の頬が途端に朱に染まる。
「俺の女はおまえだけだ、楓。俺が二見の人間だから信じられないって言うなら、俺は二見を出てやる。三男だから、いなくなったところで障りもないしな。それでおまえを縛り付けられるなら安いもんだ」
サラッととんでもないことを言ってのける絢人に楓は返す言葉を失った。
彼の表情は至極真剣で、とても口先だけとは思えない。本気で、家も仕事も投げ出す覚悟でいるのだ――楓のために。
その瞬間、興奮にも似た感動が楓の背筋を駆け上がった。心に蔓延していたやるせない感情が一気に歓喜へ塗り替わる。
もう絢人を疑う気持ちは残っていない。
疑いようのないほど真っ直ぐな情熱を向けられ、自分が彼の唯一なのだとはっきりと思い知らされたのだから。
しかし、それでも一つだけ、どうしても訊きたいことがあった。
楓が俯けた顔を上げると……絢人はぽかんと口を開けて間抜け面を晒していた。
「は……?」
「え……?」
どうして彼はこんなにも唖然とした表情をしているのだろう。楓もまた、呆然として彼を見返す。
「……待て、待て待て。ツッコミどころが多すぎる。浮気相手って何の話だ?俺は楓としか付き合ってないし、遊びのつもりもない。それに、電話で言ってた見合いも母さんが勝手に進めようとしてただけで、もう断ってる」
「……え?」
「当たり前だろ。おまえは俺のことを何だと思ってる。なんで遊びなんて発想になるんだ」
「だ、だって……絢人さんは二見の人だから……こんな、私みたいな一般人を相手にするわけないと思って……」
ゴニョゴニョと歯切れ悪く、心の裡に溜め込んでいた本音を吐き出した。
後ろめたさを感じて目を伏せていると、手首を優しく掴まれ、クイっと引き寄せられる。楓は導かれるように彼の隣に腰を下ろした。
手首を掴んでいた絢人の大きな手が、今度は楓の手をギュッと力強く握った。
まるで離さないと言われているようで、楓の頬が途端に朱に染まる。
「俺の女はおまえだけだ、楓。俺が二見の人間だから信じられないって言うなら、俺は二見を出てやる。三男だから、いなくなったところで障りもないしな。それでおまえを縛り付けられるなら安いもんだ」
サラッととんでもないことを言ってのける絢人に楓は返す言葉を失った。
彼の表情は至極真剣で、とても口先だけとは思えない。本気で、家も仕事も投げ出す覚悟でいるのだ――楓のために。
その瞬間、興奮にも似た感動が楓の背筋を駆け上がった。心に蔓延していたやるせない感情が一気に歓喜へ塗り替わる。
もう絢人を疑う気持ちは残っていない。
疑いようのないほど真っ直ぐな情熱を向けられ、自分が彼の唯一なのだとはっきりと思い知らされたのだから。
しかし、それでも一つだけ、どうしても訊きたいことがあった。