【短】made by……
充希はティーカップの柄を観察するように持ち上げながらそんなことを言う。リミは間髪入れずに首を振った。
「まさか」
「あのなあ、俺もそんなはっきり否定されると落ち込むんだぞ?」
「そう言われましても……そもそも私には、嫉妬する権利がありませんし」
リミの言葉に、充希の動きがピタリと止まる。一瞬、動揺したように瞳の奥が揺れた。
「……俺、もうとっくに高校生になったんだよ。ある程度大人になったつもりでいる」
「存じ上げております」
「君の気持ちは今でも……全く変わらない?」
「はい」
「そうか。うん。いいんだ」
充希はティーカップを置いて、わざとらしいほど明るい声を出した。
「紅茶ごちそうさま。美味しかったよ」
部屋に戻ると言って、リミと目を合わせないまま厨房を出て行った充希。
扉が閉まったのを確認してから、リミは大きく大きく息を吐き出した。
──今から二年ほど前、リミは充希に告白された。
それに対してリミは、自分が充希に恋愛感情を抱くことは絶対に無いと言って振ったのだ。