【短】made by……
「いや……彼女たち、大事な君のことを悪く言うから」
「私のことを、でございますか?」
「不愛想だとか怖いとか、別のメイドを雇うべきだとかね」
「ああ、聞こえておりました。……何ですかつまり、私のために帰らせた、と?」
リミはため息をついた。使用人である自分のせいで充希が交友関係を狭めるなど、本来あってはならない。
女癖の悪さは褒められたことではないにせよ、充希と同じ高校の女子生徒たちならば皆どこか資産家のご令嬢だ。仲良くしていれば後々充希の役に立つはずだった。
「いやいや勘違いしないでくれ。君のためじゃなく俺のため。単に彼女たちが不快だったからってだけだよ」
「……さようでございますか」
そう答える他ない。
一杯目の紅茶を飲み終えたらしい充希は、静かに追加の紅茶を注ぐ。
そんな充希を見ながら、リミは無意識に呟いた。
「それにしても、充希様は相変わらずモテますね」
「何だよ奥山。もしかして嫉妬した?」