恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜



「それじゃ、答えになってない」


「あなたは『短慮』で結婚を決めてたんですか?うちの静香に、恥をかかせるつもりですか?」


両親の言葉に打ち据えられながら、この〝短慮〟を古庄自身が一番後悔していた。

ただの条件だけで相手を決めて、安易に結婚をしようとしていたのだから、〝短慮〟以外何ものでもない。


「恥をかかせることになるとしたら、本当に申し訳なく思います。……式場のキャンセルや指輪の代金などはもちろん、ご請求されるのであれば慰謝料もお支払いします。ですから、何卒ご理解いただきたいと思っています」


古庄は頭を床に擦り付けるようにして、言葉を尽くした。何とか解ってもらえるまで、こうするしか術はない。


「そんなお金のことを言ってるんじゃありません!!立派な人だと思ってたのに、なんて人なの!!」


静香の母親が涙目になって、とうとう古庄を(なじ)り始めた。上品な面持ちが憤怒で塗り替えられていくのを、頭を下げている古庄ではなく、成り行きを傍観していた静香が見つめる。


そして、ようやく口を開いた。


「……もうやめて。……古庄さんが結婚をやめたい理由は、私が解ってる。だから、古庄さんを責めるのは、やめて」



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