余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
その思いを込めて。


「……そうだよね」


けれど萌の胸の痛みは簡単には消えない。


初めて人を好きになって、初めて付き合った大樹のことをそんなに簡単に切り捨てることなんてできない。


「萌、大丈夫?」


そう声をかけてきたのは希だ。


萌はふたりの友人に囲まれてうつむいてしまった。


できれば今はひとりになりたい。


これからどうするべきか、ちゃんと考えたい。


「ごめん。私なら大丈夫だから。本当に、大丈夫だから」


萌は早口でそう言うと、希と顔を合わせることもなく教室から出ていったのだった。
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