極悪令嬢は何度でも華麗に返り咲く〜さて準備は整ったので、私の人生返していただきましょうか〜
0.断罪されたあの日
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晴れ渡る青い空に輝く太陽は、まるで今日という日を祝福しているかのように眩しい。
そんな輝かしい太陽に照らされながら正装に身を包み、神殿の謁見台に立った私の自慢の義妹であるリリアナは、今日という日を迎えて正式にこの国の聖女に任命された。
そっと【清廉な人】を花言葉に持つアザルトネと呼ばれる真っ白な花が、神殿のあちこちに咲いてはリリアナの清楚さを引き立てるように花びらを舞い踊らせている。
妹がこの国で多くの民を救う担い手になるという喜びに姉として、これまで果たしてきた役目を終えたことに肩の荷が下りたと、リリアナの美しい姿を見つめて零れたはずの笑みはもうどこにもない。
リリアナのその姿を一目見ようと集まった多くの民の前で、開いた彼女の口から放った一言に私の息は止まり、視界に入ってくる情報に理解が追い付かなかった。
「私のお姉様である、ロゼリア・ヴァンチェスタが……この国を破滅へと導きます」
たった今、神から受けた啓示だと告げたリリアナは、後ろに控えていた私を指さし、切なそうに震える声でそう言うとふらりと体勢を崩した。
そんな彼女を後ろからしっかりと支えるのは私の婚約者であり、この国の第一王子のエンリック様。
太陽に負けない輝く黄金の髪を風に靡かせながら、私のことをきつく睨みつけて来る。
「ロゼリア……無能なだけでは飽き足らず、この国を汚す存在にまで落ちたか」
無能という言葉に、全身の血が燃え滾った。
でも何も言い返せない。
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