出戻り令嬢は、初恋執事に愛されたい。


「お、お前はっよくものこのこと帰って来れたもんだな!」


 そう怒鳴られ、私は深く頭を下げ「申し訳ありません」と呟く。こうなることはわかっていたとはいえ、頬が痛いし暴言を吐かれて辛いものは辛い。
 玄関先で使用人が見ている中、怒鳴られて精神的に疲れてきた。

 この状況の中タイミングを見てお母様がお父様に中に入ってから話し合いをしようと言うと、舌打ちをして私を家の中に上がらせた。そしてリビングではなく結婚前に使っていた自室に通された。


「この恥晒しが! 一年で帰ってきやがって!」

「それは、申し訳ないと……」

「もう、ここから出るなっ!」


 お父様はもう私の声なんて聞こえていないかのようにドアを閉めると、鍵をかけてしまった。


「えっ、ちょっ……」


 足音が遠ざかり、私は唖然とした。というか……元旦那(あいつ)、ちゃんと話をしてないのか!?契約と違うじゃないか……
< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop