最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
第7話 お出かけの約束
 私がヴァンパイアだとバレてから、二人の態度が目に見えてやわらかくなった。
 まあ、誤解が解けたからっていうのもあるんだろうけど。
 今も登校中の車の中で杏くんに質問されてる。

「ヴァンパイアってなんか超能力みたいなこと出来るのか? 身体能力が高いだけ?」
「超能力とかはないかな? 催眠術とかは出来るみたいだけれど、私はやったことないし」

 答えながら、杏くんの年相応な好奇心にちょっと笑っちゃった。
 普通の友達って感じで、ちょっと前までのぶっきらぼうな感じがウソみたい。

「へぇ、催眠術なんて出来るんだ? そういうところは伝承(でんしょう)と同じなんだね」

 太陽の光や十字架は平気なのに、とつけ加えて柊さんが感心するように言う。
 その顔も前までの無表情とは違っていて少しだけど感情が表れてる。
 杏くんは無表情なのがリラックスしてる顔だって言っていたけれど、こっちの方が落ち着いてるように見えるな。

「今度やって見せてよ」

 と、ちょっとイタズラっ子みたいな顔を見せるところなんかは楽しそうだし。

「やったことないって言ったじゃないですか」

 むーっと困った顔を見せると柊さんは「ははっ」と声を上げて笑った。

 ドキッ

 くったくのない笑顔に一瞬心臓が跳ねる。
 何を考えているか分からない人だったのに、こんなに色んな表情を見せてくれるようになってビックリだよ。
 学園での王子様スマイルとも違う、素の表情って感じにドキドキした。
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