最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
『残り一週間、気を引きしめて警戒してちょうだい』
「うん、もちろん!」
『……』

 いつものように元気よく返事をしたんだけれど、お母さんはなぜか黙り込んだ。

「お母さん?」

 どうしたの? と聞き返そうとすると『望乃ちゃん』と名前を呼ばれる。

「なあに?」
『護衛任務は大事だけれど、望乃ちゃん自身のことも大事にしてね? あなたは私の大事な一人娘なんだから』
「お母さん……」

 仕事上のことではなく、純粋に母親としての心配。
 お母さんからの想いを感じ取って、電話だけじゃ無く直接会いたくなってしまう。
 会って、ギューッと抱きつきたい衝動(しょうどう)にかられた。

 でも、任務はまだ一週間ある。
 放り出して帰るわけにはいかない。
 それに、どうせなら依頼を成功させて『よく頑張ったね』ってほめてもらいたいし。

「……うん、分かった。ケガに気をつけつつ、頑張るね」

 いつもよりしっかりと返事をした。
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