最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
第13話 攫われたのは
 契約発表前の一週間は、これまで以上に警戒しながら学園生活を送った。

 玲菜さんに催眠術をかけた男の子のヴァンパイアは何歳くらいなのかわからない。
 けれど、この宵満学園は初等部から高等部までのエスカレーター式の学園だから、制服さえあれば違和感なく簡単に入れる。

 一応学園敷地内に入るときに学生証IDカードの自動チェックがあるんだけれど。
 ヴァンパイアなら催眠術や身体能力を使えば入り込むことは難しくないから。

 だから少しでも見た事のない人がいたら要注意と思って生活していた。

 とは言えしらみつぶしに探すわけにはいかないから、基本的には杏くんに近づいて来る人を見張っているだけ。
 柊さんのそばにもついていられれば良いんだろうけれど、あくまで一学生として通っている以上授業を受けないわけにもいかないし。

 心配だったから、今からでも柊さんに護衛をつけられないか美奈都さんに聞いてみたんだけど……。


「今から頼んでも来てくれるのは来週になっちゃうらしいのよ」

 すでに依頼してみた後だったらしい。

「でも、それじゃあ柊さんが危ないんじゃあ……」

 心配する私に、美奈都さんは「そうね」とうなずく。
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