星が代わりに泣いてくれるから


会がお開きになったところで、携帯で時刻を確認すると九時を回っていた。家に帰ると十時半くらいになるだろう。ふと日付を見てみる。一気に青ざめた。

今日は結婚記念日だった。大慌てで車に乗った。信号待ちの時に連絡をいれる。
ごめん、今日結婚記念日だったの忘れてた。
本当にごめん。


次の信号でも携帯電話で返信が来ていないか確認したら、一向に既読がつかなかった。

まだ寝ていないはずだ。
もしかしたら風呂に入っているのかもしれない。


ただ、怒っているのか呆れているのか。もうセリカはなにも期待していないかもしれない。


車の中のラジオはもうすぐ流星群が見れるというもので、星に願いをという企画をやっていた。ペルセウス流星群も天気がよければ見れるらしい。月も出ていない曇り空である。ついでに俺の心も。ラジオは色んな人の願いに一言を言って紹介していく。次で最後だった。


【星に願いを、という企画の最後はこの人。ペンネームてりたまさん。お手紙ありがとうございます。星に願いたいのは今日の星に乗ってわたしのもとに赤ちゃんが舞い降りてきてくれますように、です。妊活中なんですかね。私も赤ちゃん欲しかったんですけどなかなか時間がかかりまして】


―――私、結婚したら赤ちゃん欲しい。


【そうだったんですね。本当に授かりものですからこればっかりは難しいですよね】



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