星が代わりに泣いてくれるから



ショッピングモールにでかけた時に、小さい子がセリカの足元にぶつかった。
その女の子と目線を合わせる様に屈んで、大丈夫?と声をかけた。頭もこれ以上なく優し気に撫でていた。

その子はすぐにお母さんの方へ帰っていったけど、その様子を最後まで目を話さずただじっと見つめていた。どこか寂しそうに瞳が揺れていたのを気づかないふりをしていた。


基本避妊をしていたのは、まだこどもははやいとずっと感じてそれが普通になっていたからだった。

彼女は避妊具をつける手をみて、こちらが押し入ったとき隠しきれない失望が垣間見れた。
それを見たくなくて、キスを早急にして、避妊具で隔てた彼女の中で果てた。

子どもというプレッシャー、社会へのプレッシャー、仕事へのプレッシャー。全てが重なり合ってどんどん勃たなくなって、中で萎んで自信も失ったようだった。

必然と彼女を避ける様になり、会話も最低限になる。知らぬ存ぜぬで態度を改める気もなかった。いつか、うまくいけばいい。そのいつかを具体的に考えることもせずに。




そうだ、セリカはこどもが欲しかったんだ。
気づかないふりをして。俺は知ってて、逃げた。



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