星が代わりに泣いてくれるから
「…セリカ?」
小さくはっきりと聞こえる声だった。身体をゆっくり起こし、振り返った。
視線を上げ、レンの顔を見た。レンの顔が酷く強張っていた。連日の遅い帰りでできた隈も夜が遅いからいつもより濃く見えた。スーツ姿で着替えることなしに向かってくれたのだと知った。
「レン、おかえり」
「あぁ、ただいま。横に座ってもいいか」
明らかにほっとしたように問いかけた。
「ええ」
レンは横に腰掛けると上に羽織っていたコートを私のひざ元にかけた。
自分の足もその中に入れる。久々にレンの体温を感じる。
「…なんでここにきたんだ?」
「流星群が見えるから」
「結構遠かったぞ」
その批判的な言い方に苛ついて、吐き捨てる様に言う。
「そうね。文句言うなら来なかったらよかったじゃない」
「なに…?」
「来るっていったの貴方よ、自分で選んだから文句言われる筋合いないのよ。家で私の帰りを待ってたら良かったのに」
私は少なからず来てくれたことは嬉しかった。
だけれど来て文句言うのは違うはずだ。
別に純粋に流星群を楽しむためにきたのではないと彼は察している。
結婚記念日をすっぽかされて臍を曲げて家出、だと思っている。
でもそれだけじゃない。
そんなことだけじゃない。
小さくはっきりと聞こえる声だった。身体をゆっくり起こし、振り返った。
視線を上げ、レンの顔を見た。レンの顔が酷く強張っていた。連日の遅い帰りでできた隈も夜が遅いからいつもより濃く見えた。スーツ姿で着替えることなしに向かってくれたのだと知った。
「レン、おかえり」
「あぁ、ただいま。横に座ってもいいか」
明らかにほっとしたように問いかけた。
「ええ」
レンは横に腰掛けると上に羽織っていたコートを私のひざ元にかけた。
自分の足もその中に入れる。久々にレンの体温を感じる。
「…なんでここにきたんだ?」
「流星群が見えるから」
「結構遠かったぞ」
その批判的な言い方に苛ついて、吐き捨てる様に言う。
「そうね。文句言うなら来なかったらよかったじゃない」
「なに…?」
「来るっていったの貴方よ、自分で選んだから文句言われる筋合いないのよ。家で私の帰りを待ってたら良かったのに」
私は少なからず来てくれたことは嬉しかった。
だけれど来て文句言うのは違うはずだ。
別に純粋に流星群を楽しむためにきたのではないと彼は察している。
結婚記念日をすっぽかされて臍を曲げて家出、だと思っている。
でもそれだけじゃない。
そんなことだけじゃない。