17歳の秋、君と過ごした1泊2日。

念願叶った両思い。


わたしと優くん、両思いなんだ...。


ふわふわしている頭で考えていると、急に優くんのバニラの香りが近くなった。


...え?


唇に柔らかいものが触れる。


「っん、」


それが優くんからのキスだと気づくのに時間はかからなかった。


やっぱりこの人はどこまででも甘い。


てゆーか、わたし...。


「わたし...ファーストキスだ、」


「ファーストキスだったの?もっかいしとく?」


「え?、んっ、」


わたしの言葉を待つことなく、優くんに唇を奪われる。


「ちょ、っと、誰かに見られたら...」


「見せつければいーじゃん」


そーゆーことじゃなくて!


「フッ、みゆとキスするのなんか嬉しい」


本当に嬉しそうな顔をして言うもんだから、わたしまで笑顔になる。


...でも待てよ、この人キスしたことあるのでは?


そう思ったわたしは口を開く。


「でも優くん、キスしたのはじめてじゃないでしょ?」


「心の底から好きな人とキスしたのは、みゆがはじめてだよ」


え?


どゆこと?


フリーズしているわたしを見て笑う優くん。


「僕ね、今まで人生とかどーでもいいって思いながら生きてたの」


「...へっ?」


「でもみゆに出会って、隣の席になって同じ班になって、自分でもびっくりするくらいみゆに惚れてて。こんなにも誰にも渡したくない、触れさせたくない、大好きっていう感情になったのって全部みゆがはじめてなんだよ」


優くんってこんなに甘かったっけ?


甘さがさらに増してるような気がする。


声も言葉も、優くんの全てが甘すぎてどうにかなってしまいそう。


「みゆ、好きだよ」


微笑みながらもういちど言う優くんの甘さに負けないよう、わたしも全力の甘さを詰め込んだ言葉を返した。


「わたしも好きだよ、優くん」

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