致し方ないので、上司お持ち帰りしました




「……」

「もしかして。結婚までお預け?」

「……」

「まじか。いや、待てるよ? 断固として体目的とかじゃないから! うん。俺は我慢できる! それが愛!」

「ふふっ」

「うん。俺は我慢できる! 身体の関係がなくたって、泉さんを愛しているから!」

「真白さん?」

「ん?」

「私が我慢できなそうです」




 今度は私からキスを落とした。彼は一瞬驚いたように目を見開いて受け入れた。
 ――深い愛に溺れていく。

 
 
 私は言葉の呪縛に縛られていた。呪いともとれる祖母の予言に縛られていた。

 だけど、不思議と今は心が軽い。
 呪縛の鎖を感じないんだ。

 真白さんとなら、大丈夫。本気でそう思えるから。


 
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