クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
静かな夜空の下、歩きはじめた翼君と私。
雪の上を歩くたび二人の足音が心地よく響いた。
「明日、本当にトナカイでいいの?
風邪ひどくなっちゃうよ?」
「大丈夫。それに、私着ぐるみ着るのが好きだから」
「そうなの?」
「うん」
「そっか……よかった」
え……
今『よかった』って言った?
どういう意味?
翼君の一言が耳から離れず、胸のドキドキが翼君に聞こえちゃうんじゃないかってくらい大きくなっていく。
一人で歩く冬道は夏の何倍にも長く感じるのに、
翼君と歩く冬道はあっという間だった。
家がもっと遠かったらいいのにって、初めて思った。