クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「私の家ここなの」
家の前に着いた私は、自分の家を指さして言った。
部屋の中を見られてるわけじゃないのに、翼君が家を眺めただけでなんだか恥ずかしくなる。
「送ってくれてありがとう」
照れながらお礼を言った私を、翼君が微笑みながら見下ろした。
あ、翼君も背が高いんだ……。
第一印象で全てを把握していたはずだったのに、今頃になって気づいた。
ていうか、『翼君も』ってなに?
『も』は必要ないよ。
自分の心の声に突っ込んでいると、翼君口を開いた。
「あのさ、実はちょっと話があるんだ……」
「え……?」
恥ずかしそうに紺色のコートのポケットに手を隠した翼君を、
私はドキドキしながら見つめた。