クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「実は俺、さっき彼女はいないって言ったけど、ついこの間までは彼女がいたんだ」
白い息を吐きながら話す翼君は、喫茶店で話していた時とは別人のような硬い表情で話を続けた。
私はどうして翼君がそんなことを言いだしたのかわからなかった。
ただ、黙って翼君の声に耳を向けていた。
「俺、まだ彼女のことがふっきれなくて……
そんな俺を真人がバイトに誘ってくれたんだ。
彼女のことをふっきらせるために」
俯いていた翼君が顔を上げ、私は翼君の瞳を見つめた。
今も彼女のことが忘れられないんだね……?
彼女のことが好きなんだね。
「こんな俺だけど、いいかな……?」
え……?