クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
私の思いを察したかのように、黒鼻のトナカイは視線を男から私にずらした。
そして、動けなくなっていた私の背中に手を回し、立たせてくれた。
その瞬間、声が聞こえたような気がした。
『大丈夫』 って。
だけどその声は……
黒鼻のトナカイを見上げた時、大柄な男が拳を振り上げたのが見えた。
危ない!
そう叫びそうになった時、
黒鼻のトナカイは男の拳を掴んだ……
かと思うと、男はそのまま倒れ込んだ。
えっ、今のなに!?
目が点になっている私の前で繰り広げられるアクション。
二人の男は、雪の上に倒れ込んだ。
黒鼻のトナカイは一度も手を挙げてなかったのに。