完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
「とりあえず点滴だね」
兄は顔色ひとつ変えず、点滴を物色してる。
普段の兄から想像できないような鮮やかな手つきで、すっと点滴の針を部長の腕に差し込んだ。
「本当に大丈夫なの? 今引いてるけど、肌だってさっきまで真っ赤だったんだよ?」
「すぐよくなる。とりあえず芽衣はあっちに行っておいて」
兄は半ば無理やりに私を追い出そうとする。
「どうして? 心配だからいちゃだめ?」
「だめ。大丈夫だから」
「でも……」
もし部長に何かあったらどうしよう。それが不安だった。
たった二週間しか一緒にいないのに、いなくなることが不安で仕方ないなんて、やっぱりもう私は彼を上司としてかなり信頼してるみたいだ。