愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
否定する前に唇を塞がれ「むぅっ……!」と喉の奥が鳴った。

柔らかな唇の感触と、体を探っていくような指先の動きが連動する。

ふと見れば熱く滾る眼差しがあって、男としての彼が垣間見えた気がした。

彼とどこまでも重なりたい、そんな欲を自分の中に感じ取るけれど、ふと気がついたことがあって慌てて踏みとどまる。

「待って、お兄ちゃんから見えてる……」

リビングに隣り合った居間の仏壇から、兄の遺影がこちらを見ていた。

北斗さんもそちらに目線をやり、くすりと苦笑する。

「襖を閉める? それとも……寝室に行く?」

究極の質問に顔を熱くして伏せる。寝室に行きたいって言ったら、きっとキスやハグだけでは済まない。

それとも、そもそも北斗さんは最初からそのつもりなの?

猛る眼差しからは、優しく触れ合うだけでは許さないぞという、強い意思が覗いている。

「…………寝室に、行きたい」

選び取ると、彼はふっと口もとを緩めた。

甘いマスクに隠された鋭い眼差し。まるで逃さないと言われているみたいだ。

……これが男としての彼?

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