愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「魚醤がなければ、バター醤油でも充分おいしくなると思う。お肉やお野菜自体に味があるから、そこまで濃い味付けをしなくても大丈夫だし。もしオイスターソースがあれば、隠し味に加えてもらってもいいかも」

私は冷蔵庫からパプリカ、ピーマン、玉ねぎ、エリンギ、舞茸、ホウレンソウを取り出す。

「ガパオって、こんなに野菜が入ってたか?」

「あまり型にとらわれない方がいいかなと思って。栄養のあるもの、みんな入れちゃおう。細かく切ろうとすると、逆にばらつきが出ちゃうから、ちょっと大きめに切る感じで――」

具材をざくざくと、みじん切りよりも大きめにして切っていく。

「俺がやるよ。自分で作れなきゃ意味がない。真誉は指導を頼む」

「じゃあお願い」

場所を代わり、私は北斗さんの斜めうしろに回る。

彼の包丁さばきは美しい。彼自身も新人の頃は調理当番をしていたからだろう。

「包丁の使い方、綺麗だね」

「あまり期待しないでくれ。最近は作る頻度も減ったし、忘れてる」

苦笑する北斗さん。言ったそばからパプリカがまな板を飛び出し、シンクの方へ転がっていった。

「「あ」」

< 31 / 155 >

この作品をシェア

pagetop