愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
唸り始めた北斗さんを見て、私も眉をひそめる。

「曲者……?」

「レパートリーが少ないんだ。若い隊員は料理に慣れていないし、とくに五十嵐は以前勤務していた署で料理の習慣がなかったらしくて、苦戦してる」

なるほど、と私は苦笑した。若いメンバーが調理を担当するってことは、二十代前半、中には十代もいるだろう。

料理経験の少ない子たちも多いはず。

「それで北斗さん自らキッチンに立って、お料理を教えようってわけね」

「そういうことだ」

教えるメニューは間違いにくくて覚えやすいものがいいかもしれない。

私は腕を組んでうーんと首を捻る。お料理初心者でも簡単にできて、失敗しにくいメニューはないだろうか。

「それと麺類は避けたい。食事中に出場司令が出ると伸びてしまうから」

「じゃあ、ご飯ものね。それから、少し冷めてもおいしく食べられるもの」

そして、現場での活動やトレーニングでお腹をぺこぺこにした隊員たちに喜ばれるもの。

「ガパオなんてどう?」

「ガパオか、うまそうだな。だがあまり凝った調味料は使えないぞ?」

< 30 / 155 >

この作品をシェア

pagetop