愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「たまに考えるんだ。いつか遊真に胸を張って会えるかなって。あいつの代わりにたくさんの要救助者を救えたかとか、真誉が一人前になるまでそばにいてやれたか、とか」

「それって……」

北斗さんが天国で兄に会ったら……ってこと?

まるで死を覚悟するような言い回しに、ざわりと胸に不安が広がった。

まさか、いつ命を落としてもいいようにだなんて思ってないよね?

「……まるで、死んじゃうみたいな言い方」

全身の血の気が引いた。北斗さんまでいなくなってしまったら、私はどうしたらいいのか。

せっかく磨いた料理の腕や知識を、誰のために使えばいい?

その日を考えると、たとえ話だとわかっていても、目に涙が滲んでしまう。

「っ、悪い、そういう意味じゃ――」

失言に気づいたのか、北斗さんが慌てて水道の水を止めた。

タオルで手を拭き、蒼白になった私の肩に手を伸ばす。

しかし、触れる直前でぴたりと止まる。やはり私に触れるのは兄に申し訳ないと思っているのかもしれない。

「遊真に君を任されていたから。立派に成長してくれて、安心したって言いたかったんだ。まだまだ死ぬつもりはないよ」

< 36 / 155 >

この作品をシェア

pagetop