愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
家の近くの通りには、たくさんの消防車や消防隊員がいて、野次馬も集まりごった返していたが、私たちは身を屈めて人々の足もとをすり抜け、いつの間にか規制線の奥まで辿り着いていた。

その場はまさに戦場だった。

縁側からは炎が上がっていて、消防士がホースで家の周囲に水をかけている。

『北斗! 北斗!』

兄が幼馴染の名前を叫ぶ。しかし、彼もその家族も見当たらない。

やがて消防士に見つかり『君たち、危ないから下がって』と規制線の外に押し出されてしまった。

『どうして早く火を消してくれないんだよ!』

兄が消防士に掴みかかる。ホースの水は隣家の塀のあたりをさ迷ってばかりで、家の中心から噴き上がる業火を捉えてはいなかった。

『まだ救助活動が終わっていないんだ。水をかけるのは、全員を助けたあとだよ』

水をかけると救助の妨げになるばかりか、倒壊の危険が増す。大量の熱された水が、倒れて身動きの取れない要救助者に襲いかかる。

幼い頃はそんなこともわからないから、どうしてすぐに火を消してくれないのか、苛立ちすら覚えた。

そのとき、煙の中からオレンジ色の防火服を着た消防士がふたり出てきた。

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