愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「一応準備しておいて。私は内階段が使えないか見てくる。これだけ人数がいるんだもの、梯子だけじゃパニックになっちゃう」

優多さんが内階段の様子を見に行く。

階段には白い煙が薄っすらと漂ってはいるが、幸い勢いは弱く、通れないほどではないそうだ。

黒い煙や炎も見えなかったという。そこまで酷い火災ではないのかもしれない。

「みなさん、こちらに! 私に続いてください!」

優多さんが今いるお客様たちを階段へ先導する。

私は非常階段から新たに降りてきたジムのお客様を内階段に誘導した。

すぐに消防車も到着し、消防士が避難誘導を引き受けてくれる。

私は一番最後に外へ。冷静に対処したかいもあって、お客様は全員安全に避難できた。

だが、これがもし本格的な火災だったらと考えると、ゾッとする。

多くの人間が逃げ遅れていたかもしれない。

外に出ると、消防車が複数台止まっていて、消防隊員が慌ただしく活動していた。

どうやら所轄の消防署だけでなく、近隣の消防署からも集まってきているよう。

この辺りは雑居ビルが立ち並び密集しているから、被害が大きくなると危惧したのかもしれない。

周辺に住む住民も不安そうにこちらを見つめている。

< 47 / 155 >

この作品をシェア

pagetop