愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
突然、八尾さんに真剣な顔で話題を振られ、私はきゅっと身を引き締めた。

「ええと……非常階段に荷物が置いてあった件でしょうか?」

「そのほかにも、いろいろとやっているらしい。火災報知器が作動しないように、天井の器具にカバーを被せたりとかな」

「どうしてそんなことを」

「飾りランプが高温すぎて誤作動しちまうんだと。まあ、実際火が出たのはそのランプが原因だったそうだから、当然としか言えないな」

二階は若者向けの個性派セレクトショップで、衣類や雑貨を取り扱っている。

内装はエキゾチックで、アラビアンナイトを彷彿とさせるような派手なランプやペルシャ更紗が天井から垂れ下がっていたのを覚えている。

……きっとあのランプが発火して、周りの布に引火したんだわ、と妙に納得してしまった。

「まあ、お嬢さんの店の防火管理者にも連絡がいくだろう。立入検査もあるかもしれん。少々面倒だとは思うが、命に関わることだから、真面目に対応してやってくれ。こいつも心配するしな」

ぽんと北斗さんの肩を叩く。彼は照れくさそうに眉を下げた。本当に頭が上がらないといった感じの顔をしている。

「はい。もちろんです」

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