愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
遊真の告別式が終わり、真誉には「なにかあったらいつでも連絡してくれ」と伝えたが、三週間経ってもなんの連絡もこなかった。
血縁ならまだしも、兄の友人というだけでは頼りづらいのかもしれない。ひとりで抱え込んでなければいいのだが。
気になった俺は、今は真誉がひとりで暮らしている、あの一軒家を尋ねた。
玄関で俺の顔を見ると、真誉はにっこりと笑って居間に通してくれた。
「お線香をあげにきてくれたんですね。兄が喜びます」
彼女の表情は穏やかだ。
意外と、落ち込んではいないのかもしれない。むしろ俺の方が引きずっていて重症だ。
とはいえ、彼女だってつらくないわけはない。兄は完全なるシスコンだったが、妹も妹でお兄ちゃん子だった。
毅然と振る舞っているのだ。幼く見えて心が強いな、そんな感想を抱いた。
「お兄ちゃん、たくさん出世したんですって。今では北斗さんの上司ですよ」
殉職した消防官はその名誉を称え、二階級特進するというのが慣例だ。
「随分先まで行かれちゃったな。これからは遊真じゃなくて、乙花司令補って呼ばないと」
線香をあげながらははっと笑うと、彼女も俺の背後で乾いた笑い声を漏らした。